ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:診断(3) 食物や環境に対するアレルギー,添加物,毒素

「Healing Children’s Attention & Behavior Disorders: Complementary Nutritional & Psychological Treatments」。

診断(3) 食物や環境に対するアレルギー,添加物,毒素

・問診するときはアレルギー歴を必ず聴取している。アレルギー反応は,その人の文化圏の主要な食材で起こしやすい傾向がある。

・イギリスと喘息・アレルギー研究センター所長のハイド医師によれば,特に新生児期はアレルギー感作の危険が高いという。乳製品や卵などの食品,ハウスダストなどへの曝露を減らすとアレルギー発症や症状の出現が少ないという研究結果がある。

≪脳アレルギーと環境性精神疾患
・75年前から知られていた脳アレルギーは子どもの学習障害や行動障害などを起こす可能性があるのに,その知識も治療法も知られていない。子どもの感覚知覚・考え・気分・行動を診断する上でこうした知識の重要性が示唆される。

・1916年にフーブラー医師がアレルギーによる小児の緊張・疲労症候群について述べたのを皮切りに,花粉アレルギーが緩慢さと癇癪の波を起こすことや食物アレルギーが胃腸症状だけでなく頭痛や抑うつを引き起こすことなど,数々の報告がみられるようになった。

・メイヨークリニックの消化器内科医アルバレス氏が自身の経験から鶏肉アレルギーの論文を発表したら,食物アレルギーなんてないと「知って」いた周囲の人間から敵意を向けられ,解雇される勢いだったという。しかし病院創設者のひとりであるメイヨー氏がこの論文を読んで自身も食物アレルギーであると気づき,アルバレス氏を祝福したという。

・ランドルト医師やアルベルト医師は,数日間絶食にしてから再びある食材を食べたときの苦痛の変化を観察することで,自分に合う食材は継続し,アレルギーのある食材を削っていくことができるという。しかしそのことを知っている医師はごく限られているし,精神科医はほとんどいない。

・食物アレルギー500例の診療経験に基づいてデービソン医師がまとめた結論は,
1. どんな食べものも脳の反応を引き起こしうる
2. 複数の食べものが関連しているのが通例である
3. 大抵は,3日に一度は食べる食品が関与している
4. 殺虫剤や炭化水素,スプレー,香料などの環境内の化学物質も食べものと同様にアレルギーの原因となりうる
5. このような脳の反応はしばしば神経症的とか情動的と言ったラベリングをされる

ランドルフ医師は,こうした脳アレルギーを「環境性精神疾患」と呼んだ。絶食して当該の食材を取らないことで症状が際立ち,翌日はさらに悪化することもあるが,それ以降は症状が軽減していく。そして再曝露することで急性反応を引き起こす。彼はアレルギーのある食物と反応強度の関連を示した診断スキームも作り出した。(つづく)

———-

【ひとりごと】 どんな食物でも脳アレルギーは起こりうること,本人がよく口にするお気に入りの食べものこそがアレルギーの原因食物となりやすいこと,…これまでたくさん見過ごしてきたのではないかと不安になる内容だった。