ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

利き脳に利き目に利き手? 利き側問題の沼へ飛び込む。

新たに好奇心をくすぐられる本が!!

最近、またしても非常に面白い本を読み始めました。

この本の存在を知ったのは、長尾まさ子先生のTwitterから。
どうやら「ブレインジムと私」でもこの本について言及されていたようで、読んだ当時まったくノーマークだったことが悔やまれます…。

ブレインジムと私

ブレインジムと私

数年の時を経て、今こうして読む機会が巡ってきたことにまずは感謝しないといけませんね。

右利き、左利きは簡単な話ではない

この本の内容は、ドミナンス(利き側)について。
「エクストラ・レッスン」や「薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつきあい方」でも利き手などの「利き側」のことは重要なこととして扱われていましたが、そこにグッと特化した書籍といえます。

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方

簡単に言うと、

  • 脳にはロジック半球(細部・言語・解析…)とゲシュタルト半球(全体・イメージ・直観…)があり、99%のヒトは左側がロジック半球である
  • ロジック半球が利き側のヒトは言語・数学が得意で学校教育などに適応しやすい
  • 脳だけでなく、目・耳・手・足のすべてに「利き側」があり、それぞれ利き脳と反対側にあると機能を発揮しやすい
  • ストレスがかかると利き脳ではないほうの脳半球にはアクセス制限がかかり、利き脳側の目・耳・手・足もうまくはたらかなくなる

といった説明から始まり、脳から足までの利き側の判定法と、それぞれの利き側を組み合わせた32パターンについての解説、そして苦手をカバーしたりより左右を統合的に使えたりするようになるための工夫や、人間関係(親子や師弟関係)におけるパターンの違いによる影響などについても書かれています。

…ああ、なんて複雑!!
でも、これを知ることでひとりひとりの得意な学び方や苦手に陥りやすいパターンとその対処法などがスッキリ整理しやすくなるのではないか、ととても期待が持てます。

右利き、左利きに関連して思い出したこと

20年近く前に大学院で脳機能画像研究をしていた頃、被検者さんの脳活動をMRI装置を使って記録して統計処理を行っていたのですが、被検者さんを右利きで統一するのが論文の作法となっていました。

でもそれは利き手質問票(たぶんエジンバラ利き手テスト)というものを用いてチェックしていただけ。

https://hidarikiki.biz/pdf/edinburgh.pdf

論文中には「All subjects were right-handed.」と記載していたので嘘はありませんが、利き手が右だからといってその人の利き脳が左だとも限らないし、その人の左脳半球がロジック脳だとも限らないんだな、と今になって気づきました。

無知ゆえに雑な分類をしてしまっていたわけですね。むむ、反省…。

もっともっとこの本を読みこんで、これからの子どもたちの臨床に活かしていきたいと思います。