ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの注意や行動の障害を治す:確証のための情報確証のための情報(3)症例紹介(症例44・45)

ひとり読書会こまめに2ケースシリーズ、本日も読みまーす。


読んでいるのはこちらの本です。


確証のための情報(3)症例紹介(症例44・45)


・(44) S.J.:1963年12月生まれで、初診は1971年2月。母親はS.J.の内気さ、学校での進度の遅さ、不機嫌さ、軽度の多動性を心配していたが、S.J.自身は自分を正常だと感じていた。私はナイアシンアミドを1日1g投与し始めた。1971年5月に彼女は改善し、1973年7月9日にジョン・ホッファーが診たときには、彼女は1111(4)で正常だった。彼女は毎日1gだけ飲んでいた。彼女の多動性スコアは、1970年9月22日に63→1971年2月19日に67→1971年5月19日に53であった。


・(45) E.J.:1961年4月生まれで、初診は1969年10月。2歳までに4つの単語を覚えたが、初めて会った時それ以上語彙は増えていなかった。頭位が大きく、水頭症が示唆された。彼は1969年にシャントを受け、言語療法を受けていた。私が会った時、彼は私の質問に「アイ、アイ」としか答えられなかった。母親によれば彼は50の言葉を知っていたという。彼は指差しで自分の要求を伝えていた。テレビは楽しんで視聴していた。鑑別診断では、脳の器質的損傷、幼児期自閉症、小児期統合失調症などが診断された。ナイアシンアミド500mg 1日3回、アスコルビン酸500mg 1日3回を投与し、1ヶ月後には2倍に増量し、チアミン100mg 1日3回、ピリドキシン100mg 1日3回を追加した。言語聴覚士と母親によると、わずかに改善がみられた。1971年3月5日、私には改善がまったく感じられず、ジメチルグリシン100mg 1日3回を追加した。また母親は1ヶ月のうちにさらに改善を感じた。彼はその後、小児知的障害で評価され、水頭症に起因する器質的脳機能不全と診断された。1973年8月17日にジョン・ホッファーが受診したところ、改善していないと判明した。行動スコアは1970年5月から1973年8月まで約65のままであった。


ひとりごと


今日の2ケースは対象的な経過をたどっていました。たった1gのビタミン(たった、と言っていいのかどうか…?)で良好な結果の得られた(44)、器質因があってマルチメガビタミンでも変化のなかった(45)。後者は言語発達に後退現象もみられたようで、残念です。

ビタミンにできることに限界があることは理解しつつ、可能性は活かせたらと思います。