ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

ピルを飲んでいる・飲もうと思っている中高生の女の子に伝えたい!!

ピルを飲んでいる10代の女の子たち

診察室でお会いする中高生の女の子からPMSや生理痛の悩みを打ち明けられることはわりと多くて、それがきっかけでこの本を書いたのですが、

私のところへ来られる前からピルを飲んでいる女の子たちにも結構お会いします。
イライラや落ち込み、頭痛や腹痛は月経に関連したものだと初めは思っていたけど、ピルを飲んでも思ったほど改善しなかったから「心の問題かも?」と児童精神科へ来てくださる場合です。

ピルを使っていると、見かけ上は月経が軽くなっていたり生理痛が軽減していたりすることもあって、ピルはやめたほうがいいですよ! とはなかなか言いにくかったりします。

それに、ピルを服用しているということはそのお子さんにピルを処方してくださっている産婦人科の先生がいらっしゃるわけで、その先生とお子さんの信頼関係を壊すことにもなりかねませんから…。

でも、でも。
少し時間を掛けながら、ピルに頼らずに月経による不調を軽くできたらいいよね、というお話はさせてもらっています。

月経が「見かけ上」軽くなるってどういうこと?

さっき「見かけ上」月経が軽くなると書いたのは、ピルを飲んでいる間、本当の月経はピルによって止められているからです。

月1回みられる、まるで月経のような出血は本物の月経周期のプロセス(卵胞が育って、排卵して、黄体を作って…)を踏んだ出血ではありません。
排卵を止めて体内で自前のホルモンを作らせず、ピルに含まれている合成ホルモンを一定期間服用してピタッとやめることで人工的に子宮内膜をはがれ落ちさせているだけなのです。

ピルを飲むと本来の月経と比べると確かに出血量は少なくなって持続日数も短くなるかもしれません。
でもそれは、これから月経の仕組みを成熟・完成させていくべき10代に月経そのものを何カ月も、何年間も連続して止めるという犠牲を払った上でのことだという事実は知っておいてほしいな、と思ってしまいます。

PMSや生理痛は、過去100日間の生活習慣の成績表!?

必ずしもピルを飲まなくても、PMSや生理痛を和らげる方法はじつはいろいろあります。
イブプロフェンのような鎮痛薬も有効ですが、たとえば食生活を工夫してみるのも効果的です。

小麦や牛乳をやめてみる、砂糖をやめてみる、…。

こんな美味しそうなものをただ禁止されるだけだと反発したくなりますが(少なくとも私自身はそうです💦)、その理由を知るとやっぱり控えたほうがいいのかな…と納得がいくかもしれません。

そして「ピルを飲んで出血が軽くなって楽になりました」と話してくれる女の子の採血をしてみると、それでも重度の鉄欠乏状態(フェリチン5未満)ということもしばしばあります。
鉄に限らず、マグネシウム亜鉛などのミネラルがたとえば頭痛や腹痛などの月経関連症状に関連していることを知ると、もっと補ったほうがいいと感じるかもしれません。

身体を一定の状態に保つために不可欠なたんぱく質、ホルモンや神経伝達物質の産生に欠かせないビタミン類を不足させないようにすることも重要です。

もちろん、睡眠や運動も大切。

卵巣の中で小さな卵胞が大きく育って健康な黄体を作り、自前のプロゲステロン(女性ホルモン)を分泌できるようになるまでおよそ100日かかります。

PMSや生理痛に悩まない生活を送るには、100日以上にわたってよい体調をキープする必要があるんですね。

今はピルが手放せないという女の子たちにも、ピルを使わなくても毎日が快適に過ごせる身体をめざして時間をかけて少しずつ生活改善してもらえたらいいな、と願っています。

心も身体も、余計なしんどさがないのがいちばんですもんね!

そんな思いを込めて書いた『おうちでできる! PMSと生理痛のセルフケア』、Amazon Kindleで好評発売中です。
ぜひ読んでみて、取り入れられそうなところから生活を変えてみてくださいね!