ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

ADHDの子どもたちにもっとうまく関わりたいからこの本を読んでみた!

最近はnoteも書いています。

この頃ブログの更新頻度が落ちているのは、バタバタして落ち着いてPCに向かう時間が減っているせいもありますが、noteを書くようになったせいでもあります。

noteとブログの使い分けについてあんまりきちんと詰めて考えてはいないのですが、今のところnoteはひとり読書会メインになっていきそうな予感がしています。

noteのほうが長い文章を投稿しやすいし、マガジンとして束ねることができるので、いろんな本をつまみ食いで読んでいったとしても、後から本ごとにまとめて読んでくださる方にも私自身にも整理しやすいと思うので…。

今公開し始めたのは、『ADHD2.0』と以前このブログにも登場したことのある『Rhythmic Movement Method』の2冊です。
どちらも脳の発達と身体を動かすことの関連性についてたくさんの示唆をもたらしてくれる本です。

興味のある方はぜひnoteのほうも覗いてみてくださいね。

『へんてこな贈り物』を入手!

さて、この週末こちらの本をゲットしました。

この本は『ADHD2.0』の著書ハロウェル博士とレイティ博士の前著『Driven to distraction』の邦訳です。

のび太ジャイアン症候群』でお馴染みの司馬理恵子先生が訳してくださっているのも嬉しい♪

『ADHD2.0』を読むにあたって、著者たちのこれまでの考え方を知っておいたほうがより理解しやすいかも…と思ったら読まずにいられなくなりました。

実際『ADHD2.0』の第3章には、ハロウェル博士の初めての上海講演のあとで聴衆がこの本の中国語版をこぞって買いに来たという記述もありましたから(笑)…。

たくさんの事例、そして…

早速『へんてこな贈り物』を読んでみると、前半はADHDとADD(今の診断基準からは消えてしまった用語ですが、多動の目立たないタイプのADHDですね)の事例がある程度世代別に分類・整理されて豊富に紹介されています。

ADHD特性を持っている人が読むと「あるある、わかるわかる!」と共感できそうな具体的なエピソードが山盛り。そんな彼らにハロウェル博士が掛ける言葉もあたたかかったりユーモラスだったり。とても読みごたえがありました。

私がいちばん好きだったのは、第五章「ADDと家族」。きょうだいのひとりがADDと診断されたとき、両親は、きょうだいはどんな反応をするのか。それをハロウェル博士にどう介入して導くのか。家族構成員の全員にうまく配慮されるハロウェル博士と、それを受けて家族内の関わり方を変化させる家族のみなさんに興味津々でした。

そして本の後半は診断のことや日常生活上の工夫、薬物療法などついて。

想像していたより薬物療法について肯定的な記述が多かったのですが、時代が時代(1995年出版)なので、ADHDに対する中枢神経刺激薬としてまだリタリンが処方されていたりして(コンサータの日本国内発売開始は2007年)現代とはずいぶん様相が違います。
『ADHD2.0』ではこのあたりの記述がどう変化しているかとても気になるところです。

日常生活上の工夫には、ADHD本人に向けた50のコツもとても有用と感じましたし、ADHD児の先生方に向けた「教室でのADD---50のコツ」というのもさすが!と唸りたくなるような内容ばかり。こういう工夫を取り入れてくださる先生方が学校に溢れたらいいなぁ✨

さて、この邦訳が出版されたのは1998年。原著の『Driven to distraction』は1995年に初版が出て、2011年に改訂版が出ているので、邦訳は初版の内容に基づいたもののようです。どのあたりに変更があったのか、まだ私には突き止められていません。

しかもあとがきを読んでいると「事情により、著書の了解のもとに、原文の四分の三程度の分量に圧縮せざるをえなかった」と司馬先生が書いておられます。
ハロウェル博士たちの書いた内容のどのあたりが削除されてしまっているのか気になってうずうずしてしまうのですが、大枠のところは司馬先生がしっかりこの邦訳本に反映してくださっているはず! 細かいところにこだわらず、先へ進んだほうがいいかも…。

ということで、この内容を踏まえて『ADHD2.0』をさらに読み進めていきたいと思います。