子どもの注意や行動の障害を治す:診断(4) 行動面、知覚面、生物医科学的な、そして知能の検査…IQ(知能指数)検査
またまた火曜日、ひとり読書会。
今日で診断の章はおしまいです!!
- 作者: Abram Hoffer
- 出版社/メーカー: CCNM Press
- 発売日: 2004/03/31
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
IQ(知能指数)検査
・病気の子どもの知能を測るのにIQ検査を用いるべきではないと思っている。入院時のIQが25だったという、13年間慢性期病棟に入院していた女性は、ビタミンB3で正常に戻り、その後30年間王立大学病院で清掃スタッフとして納税者として自活し、生産的な生活を送った。
・IQ検査は健康な人の知能を測るために作られ、病気だとその人本来の知能をあらわさないのだとしたら、繰り返し測定すると病気が回復していればIQも改善するはずで、IQが高くなることは治療の進み具合を反映したものということになる。
・脳が正常な人は正常の知能を持ち、栄養不足や異常があると脳機能は正常に発揮されない。これが知的障害としてあらわれるのだろう。正常な脳を持った人が真の意味で知的に遅れていることはないと考える。ほとんどの人が、脳機能を回復すれば知能は高くなるだろう。
・ハーレル女史と同僚らは栄養サプリメントと甲状腺ホルモンの投与でIQが高くなった知的障害の子どものことを報告している。Lancet誌に、ベントン氏とロバート氏のたったひとつの研究論文に対する計16名の医師の署名入りの批判のレターが掲載された。ベントン氏とロバート氏の論文は以下のとおり。
・12歳の子ども90人を3群に分け、30人には
- バイオフラボノイド 50mg
- ビオチン(B7) 100mcg
- 酒石酸コリン 70mg
- 葉酸 100mcg
- イノシトール 30mg
- ナイアシン(B3) 50mg
- パントテン酸(B5) 50mg
- 4-アミノ安息香酸(PABA) 10mg
- ピリドキシン(B6) 12mg
- チアミン(B1) 3.9g
- リボフラビン(B2) 5mg
- ビタミンA 375mcg
- ビタミンB12 10mcg
- ビタミンC 500mg
- ビタミンD3 3mcg
- ビタミンE 70IU
- ビタミンK 100mcg
- グルコン酸カルシウム 100mg
- クロム 200mcg
- マグネシウム 7.6mg
- マンガン 1.5mg
- モリブデン 100mcg
- ヨウ素 50mcg
- 鉄 1.4mg
- 亜鉛 10mg
が与えられ、別の30人にはプラセボを与える二重盲検研究を行った。もう30人には何も与えなかった。8カ月後、3グループに言語性IQの差はみられなかったがサプリメント群投与群だけ非言語性IQが有意に上昇した。言語性IQが文化や教育などの環境の影響を強く受けるのに対し、非言語性IQは生来の自然な生物学的知能と考えられる。
・7つの批判は、この論文が医師や一般大衆をミスリードして子どもたちにビタミンやミネラルを与えてしまうのではないかと恐れていた。少量~中等度量のビタミンが子どもたちに有害と考える医師もいた。
・ベントン氏らの2本目の論文は、47人の子どもを対象とした二重盲検研究で、6-8週で栄養補助群のIQは平均7.6ポイント上がり、プラセボ群は1.7ポイント下がった。この論文では、砂糖を摂れば摂るほど知能指数の改善も大きい、という有意な相関も示されたが、これらの子どもたちの栄養状態がそれほど深刻ではないことを指摘している。
・また別の研究では、質の悪い食事を摂っている子どもたちほどサプリメントの恩恵を受けやすいことを示唆している。かなりの割合の子どもたちが質の悪い食事を摂っているからこそ、ほぼすべての子どもが中等度量のビタミンやミネラルを補う野が賢明なのだ。
・さらに、コルガン氏らによる食事とサプリメントの重要性を示すエビデンスもある。リーディングの補習と行動変容プログラムへ送られてきた16人の子どもたちを対象に、個々に合ったビタミンやミネラル投与と砂糖や精製食品や重金属を除いた食事を与えた群と、サプリメントなしで適切な食事を与えた群に分けて22週間様子をみた。食事のみ群ではIQが0-21点改善し、サプリメントあり群では5-35点改善していた。
「毛髪の重金属濃度とIQ値には相関があり、学習障害や行動障害も強い。カドミウム濃度との相関は5つの研究で、鉛濃度との相関は9つの研究で報告されている。そしてこうした重金属を身体から取り除けば子どもたちの脳障害が緩和することが示唆される。メカニズムはどうあれ、無害な栄養変化をもたらせば20週のうちにIQが1標準偏差以上の改善を見せ、リーディング能力がおよそ2倍になり、子どもたちが健康で幸せになるのであれば、食事や栄養にはこれまで以上に注目するに値する」
・Schoenthaler(読み方がわからない)らは一連の研究の中で、食事の質と知的パフォーマンスや反社会的行動の強い結びつきを明らかにしている。ニューヨークの公立校803校で4年間行った研究では、栄養状態の改善を導入した学校の平均学業ランキングのパーセンタイルが他校と比べて15.7%上昇し、介入校の学習障害児は12万5000人から4万9000人に減少したという。他の研究者も同様の結果を報告している。
・私は、IQ検査は本来の知能を測定するより、知能の改善を測定するために使うべきだと思っている。測定した知能指数と平均IQとの乖離は脳機能障害の程度を反映していると私は考える。脳機能を改善させる治療はどれもIQを高めるし、こうした治療の中では栄養医学や分子栄養学に基づいた治療がベストである。IQを測ることでサプリメントがどれほど有効であるかを知ることができる。もし6か月試してもIQ値の改善がなければ、その子にはそのサプリメントは不要ということだ。
ひとりごと
ビタミン・ミネラル投与で動作性IQは上がっても言語性IQは変わらなかったのは面白い乖離。でも認知機能が向上してから読書量が増えたり理解が進みやすくなったりすれば、数年遅れて言語性IQも上がるのかもしれない。
いつの時代にも新しいものを否定する人たちはいるものなんだなぁ…と批判レターの数に驚いた。
低IQの人に会ったときそれを生来の変わらないものと見るより栄養で変わるかもしれないと考える方がずっと治療的な気がする。