ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

子どもの発達と感覚統合:第1章 感覚統合とは何か

興味があるけど自分の言葉で語れないこと

密かにずーっとものすごく興味を持っていたのに、ちゃんと学んだことのなかったもの。
それは「感覚統合」です。

ブロムベリ先生の身体アプローチも、ブレインジムのような教育キネシオロジーも、根っこのところは感覚統合と共通している部分が大きいはず。
でも、じゃあ感覚統合って何? と言われたら、うまく説明できないそうにないんです。

ずっと前に、中古で手に入れた本を少しずつ読んでみることにしました。
せっかく学ぶなら、エアーズ先生の書籍がいいかな、と思ってのチョイス。

子どもの発達と感覚統合

子どもの発達と感覚統合

  • 作者:A.Jean Ayres
  • 発売日: 1982/07/01
  • メディア: 単行本

自分の中にもっとしっかり感覚統合というもののイメージを作りたい。
ざっくりとメモを取りながら読み始めたいと思います。

第1章 感覚統合とは何か

第I部 感覚統合と脳のスタート、第1章から。

・感覚とは、電気インパルスの流れの形で目・耳・重力や運動から大量に入ってくる情報。これを使える形に交通整理して組織化するのが感覚統合。食べものは消化しないと身体の栄養として使えないのと同様、感覚も消化(組織化)しないと脳の栄養にならない。
・感覚を統合してひとつにまとめると、意味を持った形や関係として統合された知覚になる。この状態になれば行動や学習のために感覚を使うことができる。

・感覚統合は、胎児が母親の動きを感じるところから始まり、生後1年で腹這いや立ち上がりができるようになる。
・幼児期の遊びは感覚を統合するはたらきがある。
・本を読むには目や耳や首の筋肉や内耳の感覚(前庭覚のこと?)を統合する必要がある。・芸術家やアスリートには感覚統合が非常に優れている人がいるが、ほとんどの人は平均的な統合量で問題なく過ごせる。
・感覚統合の能力には遺伝子の影響もあるが、外界との相互作用・肉体的挑戦によって身体と脳で獲得していくもの。

・適応反応とは、感覚経験に対する目的指向反応のこと。たとえば遠くのガラガラを取りに行くなど。
・適応反応の形成は脳の発達と組織化を助ける。
・遊びは感覚統合を生み出す適応反応から成り立っている。遊びを組織化できる子は勉強も組織化できるし調和の取れた大人になる。

・7歳頃まで脳はもっぱら感覚処理機構としてはたらき、感覚-運動活動をつかさどる。年齢が上がるとここに精神・社会的反応が加わる。学校では読み書き計算は基礎と言われるが、さらにその基礎には感覚-運動活動がある。

・ヒトは生来、自分の脳の発達を促進することを喜ぶようにできている。
・赤ちゃんが抱き上げられ揺り動かされ抱きしめられるのが好きな理由、運動場や浜辺で走り跳び遊ぶのが好きな理由はこれ。運動の感覚が子どもたちの脳に栄養を与える。

・感覚統合は0か100ではない。脳が感覚を統合しないと、努力や困難さのわりに成功や満足が得られにくい。アメリカの子どもたちの5-10%が感覚統合障害。でも彼らは一見どこから見ても正常。
・感覚統合障害は測定できないし、医師は異常なしと評価するかもしれない。動きの観察と感覚統合評価検査の結果から経験豊富なOTやPTが評価する。

・感覚統合障害は、初期には寝返りやお座りやひとり立ちができなかったり、のちには靴紐が結べない、コロなし自転車に乗れなかったりすることがある。
・一見正常に見えても後から運動のぎこちなさや転ぶ・つまずくなどがみられることも。しかし運動神経や筋肉に問題はない。
・未就学児では遊ぶのが下手な子も。失敗する、みんなとできない、無関心にみえることも。
・言語発達の遅れは、脳内ですべてがうまくいっていないことの最初の手がかりになる。聞こえているのに話が聞けない、言いたくても構音や口の動かし方がわからない。
・手と目からの情報が統合されないと、パズル、ハサミを使う作業、紙を糊で貼り合わせるなどがうまくいかない。ただ興味がないだけに見えるかも。
・皮膚感覚の統合が悪いと、周囲に過敏になり怒ったり不安になったりする。

・感覚統合障害により、家では困らなくても学校生活で困り始めることも。
・読み書き計算は感覚統合の土台の上にある。
・感覚統合障害があると、友人を作ったり関係を維持するのが困難に。
・周囲と同じ課題をこなすのに、より多くの努力が要る。
・不注意や多動は、本人の意思ではなくコントロールが効かないだけ。我慢の範囲を超えた感覚への自動反応。本人は理由を説明できないし、報酬や罰も効かない。2年ほど続くと「自分は普通じゃない」と気づく。親の支えが重要になる。
・感覚統合障害にはさまざまな組み合わせがある。正常な子どもでもときには感覚統合障害があらわれるが、たくさん・いつも症状があるときは問題ととらえるべき。

ひとりごと

「適応反応」のような初めて見る言葉もあったけれど、全体的には知っていることの確認や復習という章。
「ことばの遅れの背景に感覚統合あり」と感覚統合の世界でもちゃんと言われているのを知ることができてますます他の身体アプローチとのつながりを感じました。
比較的お堅い(?)本ですが、早く最後まで中身を知りたい!!