ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

「気にならない子」こそしっかり気にかけるコツは?

クラスの中の、目立たない子

最近SNS経由で知ったこの本、タイトルがとても気になったので読んでみました。

学校の先生のクラス運営に役立つ本ですが、門外漢の私にもとても興味深い1冊でした。

「気になる子」が大多数だけど…

私が診察室でお会いする子どもたちの大半はおそらくクラスの中の「気になる子」のほう。
担任の先生に奨められて受診されるお子さんも少なくないですし。

あくまで受診は来てくださったお子さんのためのものなので、ご本人の困りごとがあれば応援しますが、先生にとっての「気になる子」を「気にならない子」にするためにお薬を使うようなことはしない主義。
それでも、その「気になる子」自身の困りごとにひとつひとつ対応を考えたり実行したりしていくと、先生の気になり度合いも低下していくようではあります。

以前、「気になる子」として受診されたお子さんのお話を聞いていたら、それまではクラスの中で行動が目立つタイプではなかったのに、急激に問題行動が増えていたというケースで。
実はクラスに「もっと気になる子たち」がいたために、その子自身も「気になる子」にならないと存在を認めてもらえないと感じていたんだな…とあとから気づいたのでした。

クラスのメンバーが変わっても、担任の先生が変わっても、そのたびにクラスの雰囲気は大きく変化するもの。
ひとりひとりがきちんと大事にされるクラスでは、きっと担任の先生が「気にならない子」にもしっかり目を配り、気にかけてくださっているってことなんだろうな…。

自分を出せない子にも、当たり前のことが当たり前にできている子にも注目する

この本の中には、気にならないくらいきちんとできているけど気にしてあげた方がいいと思われる子どものサインや、学校生活全般あるいは授業中に「気にならない子」の適切な言動が具体的にたくさん登場します。
それぞれのケースでどんなふうに子どもと関わるか、どんな声掛けをするかという例もあげてあります。
低学年と高学年、それぞれへの関わり方が書いてある細やかさもありがたい♪

子どもが一見うまくやれているようでもこんなことを心配してあげた方がいいんだな、こういう好ましい行動は目立たないけど取り上げてあげたらいいんだな、ととても具体的にイメージできます。

「気になる子」に目を奪われる前に、多くの先生方にこの本に登場するような「気にならない子」の行動に注目していただけたら嬉しいなぁと思います。

私も「気にならない子」の苦悩をもっと丁寧に拾いあげられるようになりたいと気持ちを引き締めさせてもらいました。