ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

小学生の勉強のやる気に火をつける、6つのエンジンと2階建ての脳とは?

Reason(理由):勉強に「やりがい」を感じさせる

昨日の記事、「小学生の子が勉強にハマる方法」レビューの続きです。

Attention(注意)の次は、Reason(理由)。
筆者によれば、この書籍の元になったアメリカの教育工学者ケラーさんの著書では、R=Relevance(関連性)となっていたようです。
勉強と自分を密接に関連づける、という意味なのでしょうか。
誰かに無理やり勉強させられるのは嫌でも、たとえば自分の将来やりたいことがあってそのために何かを勉強する必要があると自分で思うことができれば、そりゃ勉強する意欲も湧いてくるというもの。

「何のために勉強するのか」を自分事として考えられるように、ということですよね。
だから、自分との「関連」づけでもあり、勉強する「理由」でもある。

私たち日本人には、たしかに「Reason」のほうが馴染みのあるワードのような気がします(笑)。

やる気を起こさせる6つのエンジン

とても興味深かったのは、まず「やる気」は
‐ 内的発動性:自分自身の内側から出てくるやる気
‐ 外的発動性:自分の外から与えられるやる気
に大別されるということ。

そしてさらに細かく次の6つに分けることができるといいます。

  1. 報酬志向…報酬を得る手段として(褒められたい・叱られたくないから勉強する)
  2. 自尊志向:プライドや競争心から(勝ちたい・負けたくないから勉強する)
  3. 関係志向:他者につられて(みんなやってるから・信頼してる人を喜ばせるため勉強する)
  4. 実用志向:仕事や生活に活かすため(今や将来に役立てられるから勉強する)
  5. 訓練志向:知力を鍛えるため(賢くなるから・頭がよくなるから勉強する)
  6. 充実志向:学習自体が楽しい(楽しいから・やりたいから勉強する)

このうち、4.‐6.ではやる気と学習内容に結びつきがあるので、勉強の質が高くなる傾向があるようです。

でも、1.‐3.だって、大切なやる気エンジン。火が着きやすいエンジンとも言えるので、まずはこちらに上手く着火するのがよさそうです。

そして、複数のエンジンに着火することで、どれかの勢いが弱まっても前進し続けることができます!

脳は2階建て

Reasonの章は気になる話題がたくさんあるのですが、もうひとつだけここで触れておくと「脳には1階と2階がある」という説明。

1階の脳は、原始的で自動的。
無意識に、雰囲気や感情で本能的に処理してしまう脳。

対する2階の脳は、理性的で統制的。
ちゃんと意識的に判断して行動をコントロールするのです。

比べてみると、勉強・学習の場面に向いているのはどうやら2階の脳。
そうとわかれば、子どもたちにはぜひ2階の脳をうまく使えるようになってほしいですよね。

本文中には出てきませんが、おそらく1階の脳は大脳辺縁系、2階の脳は前頭前野を中心とする大脳皮質を指しているのではないかと思われます…。

さて、この章では2階の脳を育てるためのコツがいろいろと紹介されています。
ヒントは、ひとりごと。
なぜひとりごとが大事なのか、ひとりごとをどう活用すればいいのか…?
気になった方はぜひ、この書籍を読んで確認してみてくださいね。

2階の脳は大人になるまで成長し続けるのですが、その働きが鈍くなるときがあるそう。それは、
‐ 空腹時
‐ イラついているとき
‐ 寂しいとき
‐ 疲れているとき
のどれかに当てはまるとき。
成長途上の2階の脳がその機能をいかんなく発揮できるよう気にかけてあげることも大切ですね♪


…また後日に続きます。