ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

学校の先生との悲しいすれ違い。

学校の先生との連携、ありがたいです!

診療の合間に学校の先生とお電話でお話をさせていただくことはわりとちょくちょくあります。

たとえば不登校のお子さんなら、私は担任をはじめキーパーソンとなる先生が学校でのお子さんの様子をどう捉えていらっしゃるのか(周囲の子どもたちとの関係、学習面の負担など)が知りたいのでいろいろお聞きしてみます。

逆に先生方は、診察室でお子さんがどんな様子に見えたのかを知りたくてご連絡くださいます。
学校のことをどう思っているのか、今どのくらい登校したい気持ちはあるのか。

それは不登校に限ったではなく、学校で落ち着いて過ごせないお子さん、授業に集中できないお子さんでも同じこと。
お子さんと親御さんの許可をいただいてから学校の先生と情報共有して、お子さんが過ごしやすくなるよう協力体制を作るようにしています。

ところが。

どうしてもわかりあえないこともある

せっかくお電話でつながれたのに、どうにもわかりあえないことがあります。

学校はたくさんの人たちによる複雑な人間関係が存在する場。
お子さんひとりが「問題」とされる行動をとっているからと言って、そのお子さんひとりに「問題」があるわけではなく、人間関係のなかに「問題」=何かうまくいっていないこと があると私は思っています。
だからこそ、診察室でお子さんだけに会ってもわからないことを先生から教えていただきたいというのもあります。

でも、先生は受診しているお子さん=「問題」のある子、と思っていらっしゃることがときどきおありのよう。
その子に診断がついて薬を飲めば「問題」は起こらなくなると信じていらっしゃる先生。

「診断は何なのか、なぜ薬物療法をしないのか」と尋ねてこられます。
そして「どういう教育内容にするのがよいか教えてほしい」と。

残念ながら、どれだけお話をさせていただいても平行線になる予感がします。
先方からしたら、きっと私のことを「話の通じない奴」と思っていらっしゃるでしょうけど。
ええ、未熟者でごめんなさい。
先生のお考えにはどうしても寄り添えそうにありません。

そんなにおっしゃるなら……

ちょっと乱暴かもしれませんが、そんなに診断をつけてお薬を出したいなら先生がご自身で医師免許を取って診療されたらどうですか? と言ってみたくなります(まだ口にしてみたことはありませんが)。

少なくともお子さんや親御さんが希望しておられない段階でこちらから強引にお薬を処方する気に私にはなれなくて。
そこは学校の先生方から何と言われようと揺るぎようのないところです。

逆に、教育内容について私から先生に助言するだなんておこがましくてとてもできる話ではありません。
そもそも私は教育の専門家ではないですし、学校でどのような教室環境と人的環境を用意できるのかもわかっていないのですから、それは現場で先生方に考えていただくのがいちばんなのではないでしょうか。


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こういう平行線を感じてしまうこと、わりと頻繁にあるのですよね。
まだまだ医療にできることとできないことを学校の先生方に知っていただけていないのだな、と反省しつつ、地道にお伝えし続けるしかないのかなと思っているところです。

学校の先生方と喧嘩したって仕方ない。
だって、目標はお子さんががんばりやすい状態を整えることですもんね!