「重すぎるランドセル問題」も即解決?! デジタル教科書導入が進まない理由は?
先日見かけたこの記事に関連して、モヤモヤしています。
デジタル教科書、なぜ学校で使えない? 読み書き障害に有効も「特別扱い」と導入に難色
記事に不満があるわけではなくて、ホントになんでデジタル教科書導入は進まないんだろう、と。
実際に診察室でお会いするお子さんたちの中にも、学校でICT機器を使わせてほしいと動いていらっしゃるケースはあるし、実際に無事導入してもらえたケースも経験しています。
でも、大抵すんなり進まなくて。
そして不思議なことに、いつも導入が検討されるデバイスはAppleのiPad。
…そりゃ抵抗あるのは当たり前だな、と思うのです。
だって、公立の小中高で携帯やスマホを学校に持ち込んでもいいところがまず圧倒的に少ないはず。
少なくとも私の住む地域で公式に携帯・スマホOKという公立校の話は聞いたことがありません。
せいぜい、放課後必要なら持ってきてもいいけど校内では電源を切るように、という高校があるくらい。
そんな状況で、いくら特別支援の必要な児童生徒だからといって授業中iPadを持たせるなんて…と心配になるのは当然じゃないのかな。
その子自身がiPadを適切に使うかどうか、クラスの誰かがいじくり回さないか、「ずるい」「えこひいき」って声が上がったら、もし壊れたら、もし盗まれたら、そもそもあんな高価なもの(すみません、私は持ってないんですけどお高いですよね…)学校が用意するのか、各家庭に用意させるのか、…。
デジタル教科書があれば学習が楽になる子が一定数いるのは間違いないのですが、こんなに懸念事項があったら「まぁ、ナシでいいんじゃない?」と無難に済ませたくなるのもわからなくはないのです。
とっくに議論になっているのかもしれないのですが、どうして「デジタル教科書単体」のデバイスを作らないんだろう? と不思議でなりません。
各学校が選択した教科書のデータしか入れられない、インターネットには繋がらない、通話機能もなし。
でも文字サイズが変えられたりコントラストや文字色・背景色が変えられたり、読みあげデータやルビ表示機能がついていたりするようなタブレット端末の規格を作って、各メーカーに製品化してもらったらいいんじゃないのかな、と。
そうすれば、必要な人は便利に使えるし、必要ない人には別段羨ましくもない(笑)はず。
どこか一社の専売にしたら揉めるかもしれないけど、キッズ携帯みたいに各社が出して、家庭や学校ごとに好きな端末を購入するようにすれば、いい感じで自由競争が起こるのでは…?
ハードはもちろん、教科書データ側にも共通の規格が必要なはず。
とすれば、国主導で規格を作らないと話は進みませんよね。
(公立機関での)合理的配慮が義務化されてもう数年。そろそろこんな話がまとまっていってもいいんじゃないのかな、と新内閣・新文科相決定の報道をみながら思う今日この頃です。
もしかしたら、もう具体的な動きが始まっているのかも?
詳しい方がいらっしゃったらぜひ教えていただきたいです。
【9/12 追記】
この記事を昨日アップしたら、知人が「自分は3000ページある専門書をKindleで持ち歩いている」と教えてくれました。
デジタル教科書には、超重量級のランドセルや学校かばんを毎日運んでいる児童生徒さんたちみんなの荷物を軽くすることだってできるはず。
教科書を読むことに関して配慮の必要な一部の子どもたちのためだけでなく、重い荷物に悩む通学中の子どもたちみんなのためにも、早く実現してほしいと思います。