ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

セルフ人体実験をして初めて得られた,重大な気づきとは?

なんちゃって5時間OGTT,決行です!

「フリースタイルリブレ」を購入したときからやってみたかったことを,本日決行しました。

それは,なんちゃって5時間OGTT(Oral Glucose Tolerance Test)。
5時間かけて行う,経口ブドウ糖負荷試験です。

こころの問題と栄養の関連に興味を持って,割と早い時期に読んだこの本で5時間OGTT知って以来,いつか自分について調べてみたいと思っていたのです。

低血糖症と精神疾患治療の手引―心身を損なう血糖やホルモンの異常等の栄養医学的治療 (第5版)

低血糖症と精神疾患治療の手引―心身を損なう血糖やホルモンの異常等の栄養医学的治療 (第5版)

 

 今は新版も出ているのですね。こちらもチェックしてみたいところ。

新・低血糖症と精神疾患治療の手引 (心身を損なう血糖やホルモンの異常等の栄養医学的治療)

新・低血糖症と精神疾患治療の手引 (心身を損なう血糖やホルモンの異常等の栄養医学的治療)

 

 通常,経口ブドウ糖負荷試験は糖尿病診断を目的に行われ,2時間で終わるものなのですが,より長い経過を見ることで,血糖値がいつ頃どのくらいまで下がって,いつ頃から回復してくるのかをより詳しく知ることができます。

実験方法のご紹介

OGTTの手順としては,

1. 10時間以上絶食の状態で,
2. ブドウ糖グルコース)75gを水に溶かしたものを2-3分以内に摂取し,
3. ブドウ糖摂取開始時を0分として,30分ごとに血液検査を(たぶん尿検査も)行い,血糖値とインスリン値を測定する

という感じ。
私はリブレで臨むので,血糖値もインスリン値も測定せず,間質液グルコース濃度を15分おきに測定しました。

この日のために購入したブドウ糖,140g入り。近所の薬局には3gのブドウ糖がキャンディ状に個包装されたものしかなく,Amazonで購入しました。

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75g量りとります。

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プロテインシェイカーに入れるとわかる,すごいボリューム!

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あまりに多くて常温の水では溶けず,電子レンジで45℃まで温めてようやく完全溶解。
生ぬるくてべっとり甘い液体を,どうにか2分40秒かけて飲み切りました。うえー。

5時間OGTTの結果やいかに?!

で,5時間測り続けた結果がこちら。
縦軸が間質液中グルコース濃度[mg/dL],横軸は時間[分]です。

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さきほどの「低血糖症と精神疾患治療の手引―心身を損なう血糖やホルモンの異常等の栄養医学的治療 (第5版)」にある診断のポイントをひとつずつチェックしてみます。
ここでは,血糖値は間質液中グルコース濃度と読み替えてみましょう。

① 空腹時血糖は80-100が適切。 → 84でスタートしたのでOK
② 随時血糖値,食後の血糖値は80-140が適切。 → 上も下も振り切れてますね…。
③ 負荷後,血糖値は空腹時血糖の1.5倍以上に上昇。 → 約2.2倍でいい感じ。ただし,血糖値170を超えると尿糖が出るようなので,若干高すぎるでしょうか。
④ 負荷後の血糖値はすべて空腹時血糖の80%以上。 → 本来なら67.2を切ってはいけないはず。3時間後以降,5時間に達するまで低下しすぎの期間が続いています。
⑤ 波は一相性で,FBSの最低値は負荷後3-4時間後にある。 → 波はひとつしかなく,最低値は3時間15分後なのでOK
インスリン分泌は血糖値の上昇より先立って行われ,遅れない。 → どうでしょうか,インスリン濃度は測定していないのでよくわかりません。
インスリン値<50[μU/mL]。 → これも測定していないので不明。
⑧ IRI / BS>1。 → これも初めの30分間の血糖値変化でインスリン分泌の変化を割ったものなので,計算不能

ということで,私の結果は「反応性低血糖症」と言えそうです。
症状としては,117分後に「激しい空腹感(あたりまえ)」,142分後から「両腕の冷感」があったくらいですが,どちらもグルコース値が最低値に達したときというより急降下している時点で出現しました。

ちなみに手足の冷感は,血糖値を上げるためにカテコラミン(アドレナリン,ノルアドレナリン)が分泌されたために血管が収縮するから起きるよう。しかも,カテコラミンが分泌されるタイミングは「血糖値が下がり切ったときではなく,降下をしているとき(P.19)」とあるので,あぁまさにこれこれ!と納得。
そして,こういうときには「身体を温めたり,温かいものを摂ったり,…(中略)…ナイアシンは血管拡張効果と血糖上昇効果があります(P.30)」という記述も。今回は自分の身体の生の状態が知りたくていつものサプリメントも5時間の検査が終わるまで飲みませんでしたが,もしも普段どおりサプリメントを飲んでいたらここまでの変化はみられなかったのかもしれません。

うーむ,興味深い。
サプリメントありでもう一度挑戦してみたくなってきました(笑)。

私が日常生活を送る上では,炭水化物を摂ったら1時間以内にタンパク質豊富な間食を摂ったり,日頃からナイアシンを欠かさないようにしたりするのがいいかも,という気づきもあり,有意義なセルフ人体実験となりました。

こんなマニアックな記事を最後まで読んでくださって,ありがとうございました。