ここのすラボ2.1

こどもの こころを のびのび すくすく 育てることをめざして試行錯誤中の児童精神科医なおちゅんのブログです。

自閉症スペクトラム障害の症状を改善するには○○・○○トレーニングと○○○○活動が効果的?!

視覚や運動のトレーニングの有効性、また示される

治そう発達障害どっとこむでひろあさんが紹介されていた論文がまたまたとても面白そうで。

2本紹介されていた論文のふたつめのほうの元論文をちょっと丁寧に読んでみることにします。
「視覚・運動トレーニングは自閉症スペクトラム障害の子どもたちへの効果的介入となるか?」


介入の方法と結果

自閉症スペクトラムの診断を持つ6-12歳の子どもたち(非言語性IQが60未満、視覚情報の処理や統合に困難あり、てんかん脳損傷・知的障害・神経疾患はない)を60人を15人ずつ群に分け、

をそれぞれ同程度の時間で週3回、10週間実施。
その介入前後と2カ月後のフォローアップ時に、常同行為・社会行動(ポジティブなもの、ネガティブなもの)・粗大運動(移動運動スキルと物の操作のスキルに大別、計12項目)の変化をビデオ記録などから判定して比較した研究です。

その結果、

  • 視覚・運動トレーニング群のみ、介入後とフォローアップ時の常同行為が有意に減少(フォローアップ時は介入直後より多少増加あり)
  • 運動トレーニング群のみ、介入後とフォローアップ時にポジティブな社会行動が有意に増加しネガティブな社会行動が有意に減少
  • 視覚・運動トレーニング群と運動トレーニング群は、介入後に他の2群よりすべての粗大運動のスキルが有意に向上。またフォローアップ時には、視覚・運動トレーニング群のみ粗大運動の総合評価と物の操作に関して他の3群と比較して有意に改善

この結果から考えられること

自閉症スペクトラム障害の子どもたちの常同行為を軽減したり粗大運動スキルを高めるには、視覚・運動トレーニングが有効でしたが、社会行動には変化がありませんでした。
一方で、運動トレーニングのみが社会行動によい変化をもたらしました。これはこのグループのみが2-3人のグループで活動を行ったためかもしれません。
なので、視覚・運動トレーニングを複数人グループで行うことが自閉症スペクトラム障害に対する最も効果的な介入になると考えられます」

というのが、この論文の考察に書かれていた内容です。

先日のマウスの論文(回し車=有酸素運動)と比較したり、これまでこちらでご紹介してきた書籍にあった眼球運動も含めた身体の左右の協調などと照らし合わせて考えてみたりすると興味深いですね♪